タイトル:case:M 投稿者:admin
| date:2010/03/17(水)06:21
| http://www.mag2.com/m/0001060620.html
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不条理な世界 =「 in some cases 」case:m 【 in some cases : case M 】=============================
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日曜日、ボクらは日が暮れてから市役所の前に集まった。 月が雲に隠れ辺りは暗かった。雲間から射す微かな月明かりに浮かぶ市役所の威容 の前に、ウォズはもちろんサンディさえも緊張した面もちだった。 「さぁこっちよ」 先に行動を開始していたレベーカがそう言って建物の裏手の方に手招いた。 そこには何もなく一見普通の壁だった。みんな不審そうな顔でレベーカを見ると 彼女は壁の一部に手を当てた。すると壁がすっと奥に窪み、人の身長の半分ぐら いの高さしかない小さな入り口が現れた。レベーカがそれに向かって何か呟くと、 入り口は奥に開いた。開いた入り口からは明かりが漏れてきた。レベーカを先頭 にみんながそれをくぐって中に入っていった。 日曜日は誰もいないはずなのに煌煌と明かりが点いてるなんて、なんだか妙だな。 「何してるのデイヴ、早く中に入りなさいよ」 入り口から顔を出したサンディにそう言われて、ボクも市役所に入った。 中はすぐにエレベーター・ホールだった。バスケットボールのコートが三面取れ るぐらいの体育館程もあろうかという空間だった。でも真ん中にすごく太い柱が 立っていて、面積の割に広くは感じられなかった。柱の周りの壁にはレベーカの 言うとおり無数のエレベーターがほとんど隙間なく並んでいた。エレベーターの 扉はアイボリーと黒に交互に塗り分けられていた。柱にも壁と同様にエレベータ ーがぐるっと配置されている。その光景は馬鹿げているというよりも何か空恐ろ しいものを感じさせた。 「……それじゃあ何階行きのエレベーターに乗ろうか?」 ウォズが少し緊張気味に言った。 「百二十階行きに乗りましょうよ。最上階に行けばきっとこの世界が一望できるは ずよ」 サンディはこの異様な光景に負けじとするような口調でそう言った。 「じゃあ、そうしよう」 どこに行くかはすぐに決まったけど、すぐにはそこに行けなかった。なぜかと言 うとエレベーターが順番通り並んでいるわけじゃなかったからだ。どうやらこの 建物の設計者はよほどひねくれていたらしい。ボクらは手分けして百二十階行き のエレベーターを探した。 「見つかったわよ!!」 そう叫ぶサンディの声が柱の向こう側から聞こえた。 ボクとウォズとレベーカが来るのをサンディはドアを開けて待っていた。ボクら が乗り込むとエレベーターは上昇を開始した。途中少し妙な感覚に襲われたが、 あっという間にエレベーターは百二十階に到着した。 ドアが開くとそこは窓のないフロアだった。エレベーターのある柱は非常に細く なっていて、今はこの一台くらいしか中を通れない程だった。みんなドアから出 て柱の反対側にまわってみたが、そこにも灰色の壁があるだけだった。そういえ ば市役所は下の段々重ねの立方体部分には窓のようなものが見えたが、その上に 伸びる円柱には覗き窓すらないようだった。今あの菫色の円柱の先端に来ている のだ。 「ここには無いようね」 サンディが言った。 「もう少し調べてみないかい」 「もう少しって何を調べるんだい、この何もない部屋で」 ボクの提案にウォズは首をかしげながら言った。 「ちょっと見ただけじゃ駄目だと思うんだ。この市役所は一筋縄ではいかない作り だ。ここに入ってきた裏口とでもいうのかな、あれも壁の一部が凹んで現れたじゃ ないか。だからもう少し慎重に調べるべきだと思うんだ」 ボクの提案をみんな受け入れ、部屋をもう少し調べてみることにした。 五分ぐらい経ったころ 「なにこれ?!」 というサンディの叫び声が聞こえた。 行ってみると、サンディの前の壁のちょうど顔の高さぐらいのところに、十四イ ンチほどの大きさのヴィデスクリーンが現れていた。 「壁を触ったり叩いたりしていたら出てきたのよ、あの裏口みたいに」 モノクロのヴィデスクリーンには不鮮明な映像が映っていた。何かのロゴのよう だった。文字が滲んでいてよく読めないが、画面いっぱいに描かれた円の中に何 か文字のようなものが書かれている。それは漢字というもののような気がした。 「何かしら、これは」 サンディはウォズの方を見て言った。 「コンソールの初期画面のように見えないかい?」 そう言ってウォズは画面に人差し指で触れた。するとボクらの見慣れた端末のも のとは大分違ったが、アイコンが並ぶ画面に変わった。 「きっとこれがココの端末だよ。これで大いなる父に進入できるかもしれない」 ウォズは目を輝かせてそう言った。 「でもマイクもグローブもキーボードも無いわ。何か入力装置が無ければハッキン グは難しいでしょ」 「なんとかなるさ。とりあえずこいつの操作をマスターしよう」 サンディの疑問は当然のことのように思えたが、ウォズは気にも止めてなかった。 彼は新しいおもちゃを手に入れた子供のような顔で画面上のアイコンを押した。
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=========================================================================== ■次回予告:未定は未定。 =========================================================================== 【 in some cases】
発 行 日:毎週月曜日 発 行 元:1999年とショートショートワンダーランド(1999+SSWL) http://fax.mods.jp/
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