5KBのゴングショー
菅ちゃん
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彼女は柔らかな微笑みを浮かべ、 「そういうのって違うと思います」 と言ったの。 「そうかな?」 彼はそう言うけど、本当はそう思ってないのは、顔を見れば明らかのようだ。 二人は、この店にやってきて、三十分程度なのだけど、その間、交わした言葉は二、三というところ。 「このお茶、美味しいね」 「そうね」 沈黙。 少しホットな曲に変えた方がいいかな。 店のマスターは棚に目をやる。 いや、もっと、ドラマチックな展開にした方がいいか? 「マスター、お客さん、帰ったんですけど」 バイトのコの言葉に、彼は棚から店内に目を戻す。 「ああ、そうだね」 確かに、テーブル席に二人の姿はなかった。 「さてと」 「なにが、サテトなんですか?」 彼は苦笑する。 「えー、なにかおかしいこと、言いましたぁ」 彼女の目は笑っているようで、笑っていない。 「……彼、元気?」 「カレ? 彼氏ですか?」 「そう、彼氏」 「元気に決まってるじゃないですか」 彼女はそう言うと、カウンターの側を離れ、新しく入ってきた客の方に行った。 先ほどのカップル。 「すごい雨だね」 「そうね」 二人は一本しかない傘の中に入って、雨の中を歩く。 「雨っていいよね」 彼女は何も応えない。 そうこうしているうちに、二人は橋にたどり着く。 「冠水してるね」 「そうね」 「渡るのよそうか?」 「どちらでも」 「じゃあ、よそう」 「じゃあ、これで」 そう言って彼女は靴の濡れるのも構わず、橋を渡っていく。 傘を渡してしまった彼は、雨に打たれながらそれを黙って見送っていた。 彼女がわたり終えるころには、きっと雨も止むことだろう。 |
対戦相手へ